「キリストの遠さと近さ」

聖書 イザヤ書2章6―22節       ヨハネによる福音書13章36-38節

ポーランドの作家、シェンキヴィッチの小説『クオ・ヴァディス』の中の言葉「主よ、どこへ行かれるのですか。」(クオ・ヴァディス・ドミネ)と同じペトロの言葉がここに記されています。ペトロはせっかちなキリスト者の代表のような人物です。これまでにもせっかちの罪を犯しています。ペトロが「主よ、なぜ今ついていけないのですか。あなたのためなら命を捨てます」と言い切っていますが、主イエスはペトロに、あなたは三度わたしのことを知らないと言うだろうと言われました。事実、その通りになりました。しかし、ペトロは復活の主イエスの限りない愛の中で、「わたしについて来なさい」というみ言葉を何度も言われ、新しい命を与えられたのです。36節の「あなたは今はついて来ることはできないが、後でついて来ることになる」という主イエスの謎めいた言葉は、皇帝ネロの迫害の中にあるペトロに、再びローマに留まらせる形で実現されました。私たちも信仰生活の営みの中で、逃げたくなることがあるものです。しかし、その度に「主よ、あなたはどこへ行くのですか。」と問い続ける歩みではないか。私たちも主イエスの弟子(ディサイプル)です。鍛えられなければなりません。弟子の足を洗われたイエスの姿から学ばなければならないのです。

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