【ヘブライ人への手紙12章11節】
およそ鍛錬というものは、当座は喜ばしいものではなく、悲しいものと思われるのですが、後になるとそれで鍛え上げられた人々に、義という平和に満ちた実を結ばせるのです。
ライオン株式会社の創業者、初代小林富次郎氏は、マッチ製造など幾つかの事業を手がけたが失敗し、絶望し自殺しようとした時、洗礼を授けた長田時行牧師が贈ったこのヘブライ書の言葉で思いとどまったと言われます。後に「獅子印ライオン歯磨」を発売し事業は成功し、孤児院など開設した熱心なクリスチャン実業家です。なぜライオンという名にしたのか私は知りませんが、「ライオンは、わが子を谷底に落とし、這い上がってきた子供だけを育てる」と言います。自分の子供がかわいいと思うなら、あえて障害物を置いてやり、自分で乗り越えて行けるように仕向けなければならないのです。「かわいい子には旅をさせろ」とも言います。苦しみを経験した人でなければ、苦しんでいる人の気持ちを本当の意味で理解することはできません。スポーツのトレーニングやリハビリも、筋肉に負荷をかけなければ、筋力はついてきません。その負荷こそ鍛錬なのです。そのときは喜ばしいものではなく、かえって悲しく思われるものですが、後になると、これによって鍛錬された人々に、平安な義の実を結ばせるのです。