【マタイによる福音書５章４４節】しかし、わたしは言っておく。敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい。
マーティン・ルーサー・キング牧師の説教について教えていただいた森田美千代氏から最近、『お互いの心が内に燃えたではないか』（教文館）という本を頂いた。その本のなかの孫引きですが、ソ連の亡命作家ソルジェニツィン氏の次の言葉を引用しています。「人はなまじっか知識があるばかりに、冷酷な心に直面すれば、より冷酷に打算的になるよう誘惑される。その誘惑に打ち勝つ術を教えることこそ、真の教育・自己形成ではあるまいか」と。私たちはいろいろな知識をもっています。なまじっかな知識ですが。ところが、相手からいやがらせを受けたり、冷たくされたり、悪口を言われたり、利用されたりすると、相手以上に私自身が相手に、いやがらせをしたり、冷たくしたり、悪口を言ったり、利用しかねません。そういう誘惑にかられます。相手の冷酷な心を凌駕する冷酷な心で仕返しをしかねません。戦争の話しではありません。私たちはやっかいな生き物であります。その誘惑に打ち勝つ術を、ほんとうに体得していかなければ私たちの人生は虚しいものになります。その誘惑に打ち勝つことを学ぼうとする場が、毎週の礼拝ではないでしょうか。最近、閉ざされがちな社会での暴力、いじめ、カルト的手法に心が暗くなります。