2019年8月

【ネヘミヤ記9章6節】あなたのみが主。天とその高き極みを、そのすべての軍勢を、地とその上にあるすべてのものを、海とその中にあるすべてのものを、あなたは創造された。あなたは万物に命をお与えになる方。天の軍勢はあなたを伏し拝む。

ジャン・カルヴァンは、宇宙の美と形態を聖霊の業に帰す。聖霊はあらゆるものに命を吹き込む神であるという。まさに、聖霊は、すべての動物を含む被造物がその命、活動、息つぎを負っている方である。ただしそれは、世界と聖霊とが同一視されるような汎神論の意味で理解されてはならない。宇宙は神的なものではなく、ただ聖霊なる神の力によって支えられているのである。

 この聖書の示す創造世界は、人間が考えるよりもはるかに大きい。そこでは人は人間中心主義の世界観を潔くすてなければならない。確かに人は驚きと感謝をもってこう告白することができる。「神の霊がわたしを造り、全能者の息吹がわたしに命を与えたのだ」(ヨブ記33・4)と。だがこのことは単に人間にだけあたはまることではない。獣も、空の鳥も、海の魚も、主の御手がすべてを造られた。この聖書が語ることは、まさに私たちの生命そのものが贈り物であって、自分のものだと権利主張することはできないということである。確かに、人間は被造世界の中で特別の使命を与えられているが、しかしそれは、世界が人間を中心にして造られているなどということを意味してはいないのである。

(芳賀 力著 『神学の小径III-創造への問い』9章の要約)

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